化学合成油
[ FULLY SYNTHETIC OIL ]

各々のエンジンにベストマッチするオイルは異なります。さらに同型エンジンでも運転条件をはじめあらゆる条件が異なれば選定は必ずしも同様ではありません。
Moty’sにとってエンジンオイル開発とは、エンジンデザイン・マテリアルからあらゆる走行条件の把握まで、できる限りの因子を拾い出し、考察する事から始まり、ストリートにおけるノーマル車輌の一般走行からサーキットにおけるチューニング車輌・レーシング車輌に至るまで、さらに旧来のオールドファッションマシーンのエンジンから最新のエンジンに至るまで、存在するあらゆるエンジンを対象としています。
この様なアプローチ故、Moty’sエンジンオイルシリーズは多岐にわたるのです。
さらに昨今のアルコール系燃料の使用への対応も例外ではありません。充分な潤滑皮膜の形成が困難なこれらの燃料に対応すべくM111、M114、M219をベースとした製品の提供も行なっています。
1 L / 4 L / 20 L
時代の要請とも言える省燃費化促進のため、低粘度グレード製品が主流となっている現在、一層の省燃費を目指し、製品粘度をそのままにベースオイル自体の低粘度化も進んでいます。一方でエンジン保護性能、特に低速域における耐摩耗性能の維持、安価なベースオイルに起因するベースオイルの蒸発量なども考慮すべき要因です。
また車輌によっては過度の低粘度化故のオイル上がり、これらによるオイル消費量及び燃焼室のカーボン等の増加、クリーン排気ガスの質的低下等懸念される要因がある事も事実 です。
この様な状況下、一つの選択肢としての提案それがM110です。
SAE 20・30については根本原因の一つであるオイル上がり抑制を主たる目的としベースオイルを構成。SAE 40・50・60については、スポーツ走行における高温高負荷条件下での使用をも想定し機能性添加剤をバランスしました。
20 | 30 | 40 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
45.5 | 59.5 | 83.7 |
動粘度(100℃)mm²/s | 8.30 | 11.0 | 14.4 |
粘度指数 | 160 | 179 | 179 |
50 | 60 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
132 | 139 |
動粘度(100℃)mm²/s | 20.1 | 23.0 |
粘度指数 | 174 | 196 |
1 L / 4 L / 20 L
この製品はダウンサイジングターボガソリンエンジンで起こりうるプレイグニッション(異常燃焼)の抑制を目的として開発された製品です。
CO₂排出量の削減、燃費向上という時代の要請を背景にエンジンはダウンサイジング化され過給機を装着し低回転域から作動させる事で従来のエンジンと同等のパワーを得る様設計されています。
この様な高負荷条件となった低速域こそ異常燃焼の可能性が危惧される領域でありその原因の一端はエンジンオイルに含有する成分と関係しています。
それらを考慮し機能性添加剤の配合バランスをLSPI専用の設計とし、さらに燃焼室へのオイル上がりを抑制すべくベースオイルの分子量分布を適正化しました。
5W30 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
62.8 |
動粘度(100℃)mm²/s | 10.6 |
粘度指数 | 160 |
1 L / 4 L / 20 L
ノーマル車輌の一般走行からあらゆる競技車輌まで幅広く対応、そのピックアップ性能、高レスポンス性能、さらには特にトレードオフとなる性能とも言える高温高負荷時における耐久性能、これらを高次元でバランスさせたMoty’sエンジンオイル群の中で最もマルチプルな使用を可能とした製品です。
この製品は粘度温度特性に優れるハイドロカーボン系合成基油と耐熱・溶解性に優れたエステル系合成基油を用い、更にSAE 20・30・40粘度グレードには摺動部分のせん断速度に対する柔軟な粘度追従を可能とする厳選した機能性ポリマーを使用、更に複数の摩擦調整剤の組み合わせにより、粘性抵抗及び摩擦抵抗を最小限に抑え込むことを可能としています。一方SAE 50においては、機能性ポリマーは使用せず、機能性添加剤バランスについても摩擦調整剤を抑え、耐熱耐久性に重点を置いた設計となっています。
20 | 30 | 40 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
38.7 | 64.7 | 82.0 |
動粘度(100℃)mm²/s | 7.85 | 11.7 | 14.1 |
粘度指数 | 180 | 178 | 178 |
50 | 60 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
132 | 157 |
動粘度(100℃)mm²/s | 18.9 | 24.1 |
粘度指数 | 162 | 185 |
1 L / 4 L / 20 L
M111のコンセプトをそのままに、高負荷時における熱安定性を更に向上させた製品が、M111Hとなります。
40 | 50 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
91.6 | 147 |
動粘度(100℃)mm²/s | 15.3 | 20.6 |
粘度指数 | 177 | 163 |
1 L / 4 L / 20 L
この製品は、Moty’s独自の規準のもと開発されたクリーンディーゼル専用油であり、JASO DL-1等従来のディーゼル規格に準ずるものではありません。
装着されたDPF装置を詰まらせる主たる原因である硫酸灰分となる成分は、エンジン内部の清浄作用、耐摩耗性の向上という観点において重要な機能性添加剤であるという側面も合わせ持っています。
一方、現代のディーゼル車におけるハイパワー化は留まるところを知らずエンジン負荷は増大の一歩を辿っています。
この様な状況下において、我々は独自の基材選定、そしてキーとなる新たな分子量分布を確立し燃焼室への油上がりの減少を実現、燃焼室への硫酸灰分となる成分の流入を抑制、結果DPF装置の寿命を確保する事を可能とし、同時にエンジン保護性能をも向上させ、ハイスペックなエンジンの性能を長時間最大限発揮する事を現実のものとしました。
40 | 40H | |
動粘度(40℃)mm²/s |
102 | 119 |
動粘度(100℃)mm²/s | 14.7 | 16.2 |
粘度指数 | 150 | 146 |
1 L / 4 L / 20 L
環境問題を背景にエンジン設計も変革を遂げ、それに伴いエンジンオイルのさらなる低粘度化が迫られる現在、我々は単なる低粘度製品の提供に留まらず、高負荷条件下における使用をも視野に入れた真の高性能低粘度エンジンオイルを探究し続けています。
低粘度製品故の考察ポイントとも言えるベーパーロスの抑制、低速域における耐摩耗性能のさらなる向上を推し進めた結果、最終的にこの製品はベースオイル選定から機能性添加剤の配合バランスまで粘度グレードごとの設計とする事としました。
特に粘度グレード0W20においては、他の粘度グレードにみられるハイドロカーボン系及びエステル系合成基油の分子量バランスを根本から見直し、弊社独自開発の合成ベースを基軸にエステル系合成基油を主たる構成とし、新採用の特殊高分子をバランスさせた全く新しい正にゼロからの開発と言える製品となっています。
これら3タイプのラインナップは、レスポンス重視のスプリントレースをターゲットとし、クイックレスポンスと優れたオイルリターン性能にその特徴の一端があります。いわばM111のキャラクターをレスポンス側に特化させた設計となっています。
0W20 | 30L | 40L | |
動粘度(40℃)mm²/s |
33.0 | 56.4 | 73.0 |
動粘度(100℃)mm²/s | 8.90 | 11.4 | 14.6 |
粘度指数 | 267 | 200 | 211 |
1 L / 4 L / 20 L
エンジンの設計上、低粘度エンジンオイルが要求される領域で且つ、高温・高負荷条件下における長時間使用という苛酷な運転条件を想定し開発された製品で、日常の長期間使用を目的とした製品ではありません。
この製品は複数のエステル系合成基油を主たる構成としたノンポリマータイプとし、各基油の化学的構造を吟味、分子量分布の側面からも考察を重ね適正化を計った製品です。
粘度グレードについてもエンジンチューナーの飽くなき探究に答えるべく対応してきた結果、現在4タイプとなっています。
0W8 | 0W16 | 30 | 40 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
23.7 | 36.0 | 57.0 | 84.7 |
動粘度(100℃)mm²/s | 5.32 | 6.94 | 10.2 | 14.2 |
粘度指数 | 167 | 157 | 169 | 174 |
1 L / 4 L / 20 L
この製品は、強化パーツ等を駆使し、強度的許容限界域にせまるチューニングエンジンに代表される高負荷エンジンに要求される“保護力“の向上を第一義に開発された製品で、エンジン設計、メタルクリアランス等から適正粘度がSAE40〜60に相当するエンジンをターゲットとしています。さらにオイルに起因する抵抗を抑え、可能な限り流動性の確保を計り、エンジン性能を最大限引き出す事にも注力しています。粘度グレードごとに最大限保護力を追求し、たどり着いた処方はベースオイルの選定から機能性添加剤の配合バランスに至るまで、その構成は粘度グレードごとに異なるものとなっています。
SAE40・50については耐熱性・溶解性そして吸着性に優れたエステル系合成基油をリッチな構成とし、一方でSAE60については高粘度製品で問題となりかねない流動性能の低下に着目し、適正レベルの確保のためベースオイル設計は他の粘度グレードと異なるものとしています。
40H | 50H | 60 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
103 | 144 | 183 |
動粘度(100℃)mm²/s | 14.8 | 19.3 | 23.8 |
粘度指数 | 150 | 152 | 160 |
1 L / 4 L / 20 L
特に高温・高負荷条件下でのハイパワーエンジンの使用等において、あらゆるホットスポットから各部をプロテクトする事、及び連続長時間使用を可能とする事を目的とし開発された製品です。
この製品はM114 SAE50のコンセプトを基軸とし、採用された機能性添加剤については、すべての添加剤をゼロから再考し、検証を繰り返し溶解性の確認を行い、完全コンポーネント処方で創り上げた製品となっています。
50H | |
動粘度(40℃)mm²/s |
115 |
動粘度(100℃)mm²/s | 17.5 |
粘度指数 | 169 |
1 L / 4 L / 20 L
我々が長年に渡り挑み続けてきた究極のエンジンオイルとは、相反する両極にある要求性能をさらに高次元で両立する事、すなわち粘性抵抗及び摩擦抵抗を最小限に抑えるべくフリクションロスの低減を計ると言うコンセプト、そして高温・高負荷条件下における長時間使用を可能とすべく耐熱・耐久性能を追求すると言うコンセプト、これらをかつてない高次元で融合させる事にあります。そして遂に辿り着いた製品がM999なのです。
この製品完成のキーは、Moty’s独自開発の新しい分子構造を持った合成ベースオイルTRB 0450の開発にあります。
TRB 0450は摺動部分のせん断速度に柔軟な粘度追従を指し、せん断応力の変化に応じ分子の凝縮状態が変化すると言う特徴を有しています。つまりせん断応力の増大に伴い、分子はブレイクする事なく凝縮し、体積は少なくなり、圧力が低下すると元の体積に復活すると言う事です。
さらに弾性流体潤滑領域における高圧高せん断下の粘性についても他に類を見ないレベルであり、この事はかつてないエンジンの静粛性が証明しています。
また機能性添加剤については、ベースTRB 0450の採用によりサルファー・リン等を含有する機能性添加剤の使用量を減少させる事が可能となり、エンジンに使用されている原材料に対する攻撃リスクの低減をも可能としました。
30 | 50 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
71.2 | 128 |
動粘度(100℃)mm²/s | 11.7 | 17.3 |
粘度指数 | 159 | 149 |
特殊鉱物油
[ SPECIALIZED MINERAL OIL ]

旧来のいわゆる鉱物系の潤滑油にあってはまさに数百種類の異種分子で構成された集合体と言えます。今日、一般化されてきた合成系の潤滑基材とは対照的にブロードな分子量構成、複雑な立体構造をもった化合物も含まれています。自然界の潤滑剤としての優位性たる、酸化安定性や潤滑性に秀でた独特の特性を与える分子が含有されています。潤滑油の流動性や安定性の観点から原油の精製度が向上し、やがて合成系へと進展してきた経緯からすると、逆行する技術分野には違いないが、そこには自然界に依存する物質の根源たる独自性が秘められています。マシーンの駆動部に対して感覚の鋭いドライバーにあっては、ヌメッとした感触を感じる、独特なレスポンスになっています。エンジンにおいても、独特の静粛性とトルク感を体感できます。こうしたオールドファッションの潤滑剤を基盤に開発されてきたオールドファッションのマシーンは現在でも健在であって、やはり、オールドファッションの鉱物油ベースの、しかも性能的には特化した潤滑剤が所望されています。Moty’sでは、こうした潜在的ユーザーの要求にも対応しており、現在の進んだトライボロジー技術を駆使し、古き良き時代のマシーンに合致した潤滑剤をも再現し、供給しています。
1 L / 4 L / 20 L
特殊鉱物油をベースに、最新のMoty’s独自の機能性添加剤バランスを駆使し、正にオールドファッションマシーンの要求性能を満たすべく開発されたMoty’sの特殊鉱物油モデルで、ストリートからサーキットまで幅広く対応した製品です。
この製品は合成系とは一線を画す本来の鉱物油が持つフィーリングをそのままに、一方で寒冷地や冬期におけるエンジン始動性に対し一定の配慮を施した設計となっています。
10W40 | 15W50 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
98.2 | 132 |
動粘度(100℃)mm²/s | 15.3 | 19.8 |
粘度指数 | 165 | 172 |
1 L / 4 L / 20 L
オールドファッションマシーンの高温・高負荷条件下の長時間使用を可能にすべく開発された製品です。
現在のマシーン設計に比べ全体にラフなクリアランス設計となっているオールドファッションエンジン。このワイドクリアランスが要因である、各部にかかる叩く様な衝撃荷重。この様な因子をも加味し、高面圧下における適正油膜を鑑みベースオイルを選定、さらに機能性添加剤バランスも調整・適正化する事で、特殊鉱物油ならではのトルク感・静粛性を実現、高い保護性能を合わせ持った製品となっています。
40 | 50 | 60 | |
動粘度(40℃)mm²/s |
113 | 141 | 264 |
動粘度(100℃)mm²/s | 15.6 | 18.1 | 25.5 |
粘度指数 | 146 | 143 | 124 |